食品メーカーが隠したい
不都合な真実
しかし、「とくに健康を害することがない」というのは、あくまで短期的な評価です。長期にわたって一つの食材やサプリメントなどを偏って摂取すれば、何が起きるかわかりません。それどころか、短期であろうとなるべく口にしないほうがいいものも、世の中にはたくさん出回っています。ただ、企業サイドの不都合な真実は巧みに隠されているのです。
たとえば、保存料はあたかも「消費者のみなさんが腐ったものを口にして健康を害さないように」使用されているかに見えますが、最大の理由は食品メーカーの在庫管理に便利だからです。一度つくったものはメーカーが長く販売したいから、健康は二の次で保存料を入れているわけです。
また、消費者が「もっと食べたい」とリピート購入してくれる商品を開発するために、メーカーはいろいろな「工夫」を加えています。なかでも効果的なのが、糖質を多量に用いて中毒患者を生み出すこと。多くのビジネスパーソンが、まんまとその罠にはまっています。
とはいえ、食品メーカーとて、消費者が病気になることを望んでいるのではありません。単純に「利益を上げる」という企業の論理を貫いているだけです。
健康のために「食のリテラシー」が必要になった
医学的にあり得ない効用を正しく見抜く
私たちが生きる資本主義社会は、自由で素晴らしい面をたくさん持っています。一方で、真偽を確認しづらい情報が飛び交っており、それらをどう解釈するかについても自己責任で臨まねばなりません。あなたの健康を守る食事について、本気で考えてくれるのはあなた本人しかいないのです。
こうした状況下にあって、連載1回目では、「エビデンス」という言葉を都合よくつかう専門家たちの欺瞞と不勉強を、連載2回目では、消費者自身が間違った思い込みから抜け出せずにいることも大きなネックになっていると指摘しました。やはり、大事なのは、ちまたの食に関する情報への正しい判断力を持ち、感情的にならず冷静に対応する「食のリテラシー(適切に理解・判断する能力)」を持つことです。
そして、そのリテラシーを身につけるときに、拠り所としてもらいたいのが「生化学」です。
生化学とは、体内のさまざまな物質についての合成や分解、代謝のメカニズムについて、「亀の甲」と呼ばれる化学構造式により解明する難解で退屈な学問です。私は大好きですが、もちろん、皆様にマスターしろと言うつもりはありません。
ただ、「感覚」で判断するのではなく、生化学で立証できるところに軸足を置いてほしいのです。