咳喘息の咳が
夜に辛くなる理由

 咳喘息の咳は夜間に多くなる傾向があります。この理由について明らかにはされていませんが、私は次のように考えています。

 体を横にすると内臓の血流が多くなります。内臓の病気を患った時は体を横にして休むというのが原則です。肝臓や腎臓などの血流が多ければ、病気の回復が早くなることは予想される通りです。

 しかし、肺の疾患の時は、必ずしも肺の血流が多いと回復が早くはありません。心不全や呼吸不全を治療する時は、上半身を若干起こして肺や心臓の血流を少なくした方が、心機能や呼吸機能が回復することも多く見られます。それは上半身をすこし起こした方が、心臓や肺への負担が少なくなるからでしょう。

 咳喘息も同様に考えてよいでしょうか。咳喘息の場合、肺の血流が多いと、逆に炎症を起こしているところから、泡のような痰が出てくることがあります。実際に咳喘息の患者さんから話を聞くと、夜、横になるとカニの泡のような痰が咳に絡んで出るものの、起き上がると痰がなくなるということでした。また、体を起こしている日中はかなり痰が少ないそうです。

風邪の症状が治まりかけたときに
気管に炎症が及び咳喘息に発展

 次に咳喘息の経過について話を変えましょう。

 咳喘息は風邪のあとに続いて起こることがほとんどです。風邪の多くは咽頭といわれる部分で炎症と痛みを生じます。「風邪で喉が痛い」というのは、この炎症が原因です。

 咽頭は口を開けてみると舌の奥に見えます。風邪が進行して、炎症が喉頭や気管にまで及ぶと咳喘息が発症します。もちろん、咳喘息を発症する手前の状態でも咳は出ます。喉頭や気管はとても敏感な部分。風邪の症状で発生した痰がここにあると、たとえごく少量であっても、体は咳と共に外に出そうと反応します。

 炎症が期間にまで及ぶタイミングは、かぜの症状がようやく落ち着き始めかなと、自分でも感じ始めた3日目ごろから、症状がスタートします。患者さんにとっては、「風邪の症状がやっと楽になってきたのに今度は咳が出始めた」と思うことでしょう。