ビジネスの現場では、様々な問題が発生する。横領や商品の横流し、情報漏洩、採用時の経歴詐称など、実に多種多様だ。1965年創業、年間7000件の調査を行う総合調査会社「トクチョー」が、日々の調査業務で遭遇するビジネスの現場における事件とその教訓を紹介する。題して「調査員は見た!不正の現場」。8回目は、不正なキックバックにまつわる事件だ。
必ずしも不正ばかりではない
キックバック退治の難しさ
総合調査会社として社内の様々な不正、不祥事についてご相談を受けるなかでも、最も見つかりにくいものの1つが不正なキックバック、不正なリベートに関するものです。
取引先から「今回の案件で発注してもらったお礼に……」「次の案件、ぜひお願いします」などと言われて、個人的な金銭の授受をするという話を聞いたことはないでしょうか。どのような業界でも起こり得る不正なキックバックは、半ば業界慣行となっているような場合もあります。
キックバックとは、取引の相手方に対して、取引に関連して報奨、謝礼のような意味で支払う金銭などを言います。リベート、バックマージンとも呼ばれ、また会計上は売上割戻し、仕入割戻しといって、必ずしも違法・不正の意味を持つものではありません。
ただ、キックバックは不正、汚職の手口として使われることが非常に多いため、キックバックやリベートと聞くだけでネガティブなイメージを持つ人も少なくないでしょう。今回は、不正なキックバックで2000万円もの大金を懐に入れていた事例を紹介します。