全国の自治体に埋もれた「引きこもり実態調査」の知られざる中身厚労省は全国の自治体が過去10年間に実施した『ひきこもり実態調査』の調査状況を、初めて取りまとめた。気になる中身はどうなっているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「ひきこもり実態調査」の結果は
多くの自治体で公表されていない

 全国の自治体で「引きこもり状態」にある人の実態調査が進んでいる。

 厚労省は8月2日、全国の自治体が過去10年間に実施した『ひきこもり実態調査』の調査状況を、初めて取りまとめた。

 それによると、全国の都道府県から市町村に至るまでの全自治体数1788ヵ所の中で、実態調査を行っていたのは128自治体で全体の7%だったが、そのうち調査結果を公表していたのは34%(43自治体)しかなく、66%の85自治体では未公表だったことが明らかになった。

 実施自治体数の内訳を見てみると、47都道府県では約半数の23府県で調査を行っていることがわかった。また政令指定都市でも、全体(20市)の半数近い9市で調査を実施していた。

 一方で、一般の自治体を見てみると、全国795ヵ所ある市・区のうち実施していたのは64市・区で、全体に占める割合は8%。全国926町村においてはわずか3%(32町村)に過ぎなかった。

 調査方法については、実施した128自治体のうち、民生委員・児童委員を通じたアンケートや聞き取りが83自治体と最も多く、全体の65%に上った。保健師・NPO・事業者経由でアンケートや聞き取りを行った方法が29自治体(23%)、無作為抽出によるアンケートが22自治体(17%)、全戸調査は5自治体(4%)だった。

 調査の算定方法や調査対象である「ひきこもり状態にある者」の定義は、自治体によってまちまちだ。

「8050親子」の衰弱死事件などがあり、昨年8月に調査を行った札幌市では、市内の15~64歳の1万人を無作為抽出。調査票を郵送により配布し、郵送で回収する方法で行い、有効回収数は3903人だった。

 定義は、内閣府に準じたものながら、きっかけが「統合失調症または身体的な病気と回答した者」「専業主婦・主夫、家事手伝い」といったケースを除外している。