こちらの男性、たいへん機転が利いていてすばらしい。「少しの給与で働くことにした」のが、手取り率アップにつながっている。

 後日、男性の年金や給与を想定して試算してみたのが図(3)である。

 65歳以降の公的年金と退職金の分割払いの合計額は、年480万円。これだけあると、わざわざ働かなくていいと誰もが感じるだろう。しかし、年金収入が多い分、税金・社会保険料(自治体の国民健康保険料・介護保険料)の負担は軽くなく、手取り利率は83.1%である。約17%、金額にして約81万円も「使えないお金」ということだ。

 この年金をもらいながら「月10万円」働くと、収入が増えるにもかかわらず税・社会保険料の負担額は減り、手取り率は87.6%にアップする。働くことで5%近くも手取り率が増えるとは、うれしいことだ。

 図3の試算の「健康保険料」に着目してもらいたい。年金収入だけだと、保険料は39万2000円なのが、月10万円働くと5万9000円で済む。年約33万円も保険料がダウンする。

 前回述べたように、退職金は年金受け取りよりも一時金受け取りのほうが、手取り額が多くなる傾向にある。そうはいっても、勤務先によっては企業年金の一時金受け取りができないケースや、終身の企業年金が退職金にセットされているケースもある。

 企業年金の制度が充実している会社に勤務されているなら、65歳以降も「少しの給与で働き続ける」と、年金生活の手取り率アップにつながることを念頭に置いておこう。

(株式会社生活設計塾クルー ファイナンシャルプランナー 深田晶恵)