ペルシャ湾の石油輸送に対するイランの妨害行為により、同国の指導者らは苦しい立場に追い込まれている。敵対国への報復を意図した措置が、残された数少ない友好国の怒りを招かないようにしなければならないからだ。イランは7月19日に、英国と関係のある船舶2隻をペルシャ湾で拿捕(だほ)した。その2週間前に英国がジブラルタル近海で、欧州連合(EU)の制裁に違反してシリア向け原油輸送を行っていたとされるイランの石油タンカーを拿捕したことを受けた措置だった。自国船舶の拿捕に対抗措置を取ると警告していたイランはまた、アラブ首長国連邦(UAE)を拠点に運航されていた船舶を、密輸行為の疑いで拿捕した。こうした船舶拿捕の動きは、イラン経済の生命線である石油輸出を停止させようとする米国への報復を意図したものであり、ホルムズ海峡の航行を阻止するというイランの決意を反映している。英国は、イラン核合意を苦境から救おうとする欧州諸国の動きに加わっていたが、ジブラルタルでの出来事の後、イランの標的となり、今では米国やサウジアラビア、UAEと同様に敵対国としての脅威に直面している。