これにより、一時的に支持率は上向いた。

 韓国がGSMOIA破棄を発表したことを見ても、文政権にとっての対日強硬姿勢は支持つなぎ止めの命綱に例えられる。GSOMIAは韓国の安全保障において重要だ。7月の北朝鮮ミサイル発射に関しても、韓国はGSOMIAをもとにして日本から情報を入手し、ミサイルの飛行距離を修正したことが報じられている。

韓国保守層に広がる
文政権への不安

 8月第2週、文大統領の支持率は低下に転じた。

 これには多くの要因が影響している。経済環境の悪化、北朝鮮によるミサイル発射や韓国批判、日韓関係への不安などさまざまな問題がある。総合的に見ると、韓国の社会心理の一部にわずかではあるものの、冷静に文政権の先行きを考えようとする変化が表れつつあるように感じられる。

 8月15日の“光復節”に、文大統領支持の左派系と、“反文政権”の保守派がそれぞれ大規模なデモを実施したことは一つのヒントになるかもしれない。左派は南北の統一を求め、また日本への批判を行った。一方、保守派は文大統領を批判し、退陣を求めた。

 文政権下、韓国では左派の主張が政治の流れに大きな影響を与えてきた。報道によると、15日のデモ参加者の数は、左派、保守派とも数万人に達したという。つい最近まで、連日のように韓国の市民団体などが反日デモを行っていたことを考えると、保守派が大規模なデモを行ったことはそれなりの意味を持ちそうだ。

 保守派は、「文政権では韓国はよくならない、さらなる悪化に向かう恐れがある」といった懸念を強めている。背景の一つには、日韓関係の悪化がある。その他、対北朝鮮政策など文政権の懸念材料は多い。

 特に、GSOMIA破棄は常識では考えられない。

 自国の安全保障にマイナスになるということは、自ら国益を損なうことに等しい。韓国にとって、日本との関係は重要だ。通貨の安定や技術面など、韓国は日本からの配慮をもとに経済を支えてきた側面が大きい。しかし、文大統領はそれを積極的に放棄した。