従来のスポット市場と比べて
大差なく期待外れ

 2018年度でスポット市場に依存し過ぎて経営を悪化させた新電力は、スポット市場の依存度を下げ、大手電力と直接、相対契約を結び始めていた。

 新電力がベースロード市場で買い付ける際、スポット市場の価格はもちろん、相対契約などの価格も判断材料になった。

 ベースロード市場の初取引での約定価格は1キロワット時あたり12円~8円台。スポット市場の年間平均とほぼ同等だった。大手新電力幹部は「相対契約だったら、(ベースロード市場の)この価格は絶対に納得しない」と憤る。一部の新電力からは「5円前後が妥当」としており、期待したレベルに遠く及ばなかったのである。

 確かに電源の固定費が含まれずに約定価格が決まるスポット市場と違い、固定費も含んだ上で売り入札価格が提示されるベースロード市場は、必ずしもスポット価格より安くなるわけではない。

 しかし別の新電力幹部は「今は電力需給が緩んでいて、電力が余っている状況。それでベースロード市場がスポット市場と同等レベルなのは解せない」と首をかしげる。

 では、なぜ相対契約と拮抗する価格にならなかったのか。石油トレーディングの経験を持つ総合商社関係者は「電力取引市場が機能するために必須の3要素、取引の透明性、多様性、流動性が欠けている」と指摘する。

 売り手は大手電力十数社に対し、買い手は新電力約150社。「売り主が大手電力のみで、一種のカルテルに近くなる」と電力業界関係者は言う。

 取引価格の妥当性などベースロード市場の取引を監視する電力・ガス取引監視等委員会がその役割を果たさなければ、ベースロード市場は機能しないということだ。

 電力小売り全面自由化の公平な競争環境が整うには、まだ時間がかかるだろう。それまで新電力は生き残っていられるだろうか。

(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)