ゲームはどうやって心を動かしているのか?を
議論・分析・研究

申し遅れました。私は玉樹真一郎というものです。かつて私は任天堂株式会社に勤め、ゲーム機の企画を担当していました。もっとも深く関わったのは、Wiiというゲーム機です。

Wiiは世界で1億台売れるヒット商品となりましたが、Wii自体はおもしろくありません。
ゲーム機はあくまでも、ゲームを遊ぶという体験をおもしろくするためのもの。
だからこそ、当時の私は「ゲームはどうやって心を動かしているのか?」について議論・分析・研究を重ね、学び、商品企画に活かしてきました。

その後、私は任天堂を退社し、企画の専門家としてさまざまな企業・団体さんが企画を考えるお手伝いをしています。ただひとつの武器は、キャリアを通して学び、実践し続けてきた「心を動かす体験のつくりかた」

世の中、高機能・高性能だけの商品はもはや売れなくなってきています。
ついその商品やサービスを触ってしまうもの、誰にでも使えてしまうもの、所有していると気分がいいもの……心を動かす体験をもたらす商品やサービスこそが求められています。

私たちはいつだって、心を動かしたいと願っています。

それこそが「ついやってしまう」体験のつくりかたの核です。
ここでは心を動かす体験をつくる方法を「体験デザイン」とよびます。
といっても、急に「体験デザインだ」と言われて、まだピンと来ない方もいらっしゃると思います。
そもそも「体験」ということ自体が抽象的で、うまく言葉にできないものですよね。

そこで、例題といきましょう。
といっても、「鼻とピース」の絵を5秒見つめるだけです。

『「ついやってしまう」体験のつくりかた』6ページ書籍『「ついやってしまう」体験のつくりかた』6ページより

なぜでしょうね、ただ絵を見ていただけなのに、心は勝手に動いて、妙に鼻の穴の辺りが気になったりしませんでしたか? そんな心の動きこそが、体験というものの本質です。