日韓の対立も、そうした観点で見据えなければ問題を見誤る可能性があります。韓国では、ポピュリズムで誕生した政権が、強い権力を持って政策を推し進めています。韓国の日本に対する対応については、実は韓国民からも「行き過ぎている。心配だ」という声が上がっているのが現実です。しかし、民意よりもトップの意向が強まっているこの時代、権力を持ったトップがすんなり方向性を変える可能性があるのか、そのためには何が必要か、というところに、この問題の「根」があるのです。

独裁者の3つの権力基盤と
文政権が目指す「理想的ゴール」

 さて、その問題に言及する前に、独裁の危うさを確認しておきましょう。20世紀の歴史において、独裁者に権力が集中するとろくなことが起きないことを、私たちは経験して知っています。同じ愚かしい歴史が21世紀の大国間でも繰り返されるのではないかということは、誰もが心配するところではないでしょうか。

 独裁的な権力者の権力基盤には、3つのパターンがあります。20世紀の例を見ると、ヒトラーはポピュリズムで権力を掌握しました。これに対してスターリンは、人事を掌握することでライバルを粛清していきました。一度一線から退いた毛沢東の場合は、熱狂的な思想を武器に権力の座に返り咲きます。

 国民が注意をはらうべきはこの3つで、行き過ぎたポピュリズムでよからぬ人が権力を握らないか。陰で人事をコントロールすることで反対派を粛清し周囲に「ノー」と言わせない権力者が出現しないか。そして、熱狂的な一部の支持者の力を武器に権力者が暴走しないかです。

 韓国の文在寅大統領の場合、これまではポピュリズム的な傾向が強かったのですが、そもそも1期5年間限りと任期が決まっている大統領なので、本質的には選挙で選ばれた段階で、それ以降、必要以上に国民の人気にすがる必要がない立場にあります。にもかかわらず、日本を過剰に非難する背景には、文在寅が目指す「思想的ゴール」があるからだと言われています。

 それが、朝鮮半島の統一です。大統領の任期は2022年まで。まだあと3年間ある。その間になんとか統一の実現に向けていきたい――。文大統領の言動からはそう考えているように感じられます。

 普通に考えれば、北朝鮮と韓国が統一されるなど、私たちにとってはあり得ないことのように思えますが、韓国民にとっては長らくそれが悲願となっています。そして、平和的にそれがなされる場合の現実解としては、連邦制が挙げられます。