「第一志望」でない学生を
評価する企業は少なくない

 学生は企業に対して「御社が第一志望です」と発言したり、エントリーシートに記入したりする。採用面接に臨む心得として、もはや決まり文句と化している。

 一方の企業は、学生の本心を見抜こうとあの手この手で質問をしたり、就職活動状況を克明に記入させたりする。学生からの反応で、自社に対する志望度合いがわかることもあれば、見当がつかないこともある。この学生と企業の腹の探り合いに要する時間と労力の総和は莫大だ。

 こうした化かし合いの状況に終止符を打つ救世主として現れたのが、内定辞退率予測データだ。学生が面接では「御社が第一志望です」「(内定をもらったら)就職活動は終了します」と言っておきながら、内定辞退率予測データにより、変わらず就職活動をしていることがつまびらかになる。つまり、このデータがあれば、学生と企業の探り合いは相当程度、軽減されることになる。

 繰り返し申し上げるが、今回の問題は、個人情報保護の観点から極めて深刻な問題だ。しかし、学生と企業の無意味な探り合いに終止符を打つという観点からは、このデータの存在価値は大きい。

 リクナビがあらためて、あるいは他社が新たに、個人情報保護の観点から万全の取り扱いをした上で、このサービスを再開してもらいたいと願ってやまない。

 このように申し上げると、「学生の就職活動履歴が明らかになるという、学生にとって不利な取り扱いをされるサービスなので、正しく同意確認すれば、同意する学生はいないはず。サービスとして成り立たないのではないか」という反論を受けることがある。

 しかし私は、そうは思わない。そもそも、面接において学生が「御社が第一志望です」と言った方が有利だという定説自体が、間違いだと言いたい。国内外企業の人事部長として採用に従事した経験をふまえれば、もちろん第一志望の学生を採ることもあれば、第一志望にしていない学生を採りにいくためにチャレンジすることもある。