図(1)の「1991年日本生命方式」の計算では、老後資金は7400万~9700万円! 60歳からの支出額の積算の金額で、年金収入を差し引いていないのが特徴だ。

 一方、6月3日に発表された金融庁の「老後資金目安」は、総務省の「家計調査」に基づいたもの。私も以前から使っているデータだ。こちらは、毎年の収支赤字(支出額から年金収入を引いたもの)を30年間分で2000万円の老後資金としている。

 支出総額の7000万円とか、1億円とか言われても、老後の生活はイメージしにくい。「収支赤字の累計」で考えるほうが貯める目標額がわかりやすくていい。老後の生活費の問題は、長く続いてきたテーマなので、考え方、見せ方が徐々にこなれてきているのかもしれない。

意外!サラリーマンの年金額は
当時より増えている!

 クロワッサンの特集には当時の平均年金額の記載があった。

◆厚生年金加入の民間サラリーマン
老齢年金平均年金月額:13万8000円
支給開始年齢:男子60歳、女子57歳
(出典:厚生省「厚生白書」平成2年版より)

 月額13万8000円を年額にすると、約167万円。一方、2019年度のサラリーマンの平均年金額は、月額15万6000円、年額188万円(厚生労働省発表のモデル世帯の夫婦2人分の平均年金額から妻の基礎年金を差し引いた金額)。

 バブル崩壊以降は、景気低迷期が多いうえ、少子高齢化も徐々に進んでいたにもかかわらず、厚生年金加入者の年金額は増えている。給与の平均額が上昇したからなのだろうか。

 年金の財政検証では、現役のときの所得に対する年金額の割合である「所得代替率」を用いている。年金制度を守っていくために政策を議論するにはもちろん必要なモノサシなのかもしれない。しかし、個人が自分の老後生活を考えるうえでは、「所得代替率」よりも「年金額」のほうがイメージしやすいだろう。