80歳まで続く住宅ローン
家計が破綻する可能性はあるのか

 今回ご相談を寄せてくださったのは、80歳まで住宅ローンの支払いがあるというNさん。60歳の定年退職時に入ってくる退職金を住宅ローンの繰り上げ返済に充てるか、このままローンを返済しながら、収入の一部は投資に回すべきか、悩まれていらっしゃるようです。

 早速、Nさんからいただいたデータを基に、住宅ローンを繰り上げ返済すべきか否か、検討していきましょう。ただし、寄せられたお悩みにはNさんが何歳まで働くのか、公的年金をいくら受け取れるのか、記載がありません。また、リタイア以降、生活費のほか、旅行などのイベント費用、車などの耐久消費財の買い替え費用のほか、毎月の住宅ローン返済額や金利の記載などもありません。記載のない部分は、推測を交えて回答することはご承知おきください。

 まず、60歳までの収支を見ていきましょう。額面の年収は900万円、生活費はローンを含まず25万~30万円と書かれています。生活費は月によって幅があるようですが、ここでは毎月28万円とし、住宅ローンの返済額は月8万8100円(金利1.0%、返済期間27年、毎月払いのみ、数字は10円単位を切り上げ)、修繕積立金や管理費などは月3万円と仮定します。すると、毎月の支出額の合計は39万8100円、年間で477万7200円になります。

 額面年収900万円から手取り年収を740万円とすれば、年間の収支は「740万円-477万7200円=262万2800円」の黒字になります。

 とはいえ、臨時の出費も考慮して、黒字額の262万2800円よりやや少ない250万円を年間の貯蓄額とすれば、5年間で1250万円の貯蓄が増えることになります。現在、貯蓄は800万円、投資額は600万円の計1400万円ですから、それに1250万円の貯蓄、退職金の2000万円が加わると、60歳時点の金融資産額は4650万円になります。

 60歳以降、Nさんは再雇用制度で現在勤めている会社で働き続けるとして、それ以降の額面収入は現在の4割減の540万円、手取額を450万円とします。もし生活費水準が今と変わらないとすれば、年間の支出額が477万7200円ですから、年間約28万円の赤字になるでしょう。そうなれば、年金が支給される65歳までの5年間では合計約140万円を貯蓄から取り崩すことになり、リタイアを迎える65歳時点での金融資産額は約4510万円になります。