米グーグルで日本の中小企業向けビジネスに携わった後、2012年にクラウド会計ソフトを手掛けるfreeeを創業した佐々木大輔CEO(最高経営責任者)。
データ入力などに膨大な時間を取られ人手不足に苦しむ中小企業に対し、最先端のITを活用することで「業務効率化と経営可視化を実現し、変革の手助けができるはず」(佐々木氏)と考えた。
当時、中小向けの会計ソフトの世界では弥生が圧倒的な存在感を誇っており、「クラウド会計など、うまくいくはずがない」と周囲からは言われた。
freeeは、銀行口座やクレジットカードの取引情報から、人工知能(AI)が自動的に仕訳する仕組みを導入し、取引先との入出金を一元的に管理。従業員による入力の手間を省き、専門知識がなくても会計管理ができるようにすることで、短期間に個人事業主や中小企業など100万社超のユーザーを獲得することに成功した。
freeeは今年6月から、同社のウェブサイトを訪れた中小企業に対し、融資を自動提案するサービスを開始した。出入金などのデータをリアルタイムで分析し、財務諸表では見えない商流を基に、借りられる金利の目安をユーザーごとに提示。freeeと提携する金融機関に融資を仲介している。
従来の融資では、銀行員が企業に資金繰り表などの提出を求め、時間をかけて分析してから可否を判断するのでコストがかかった。審査がボトルネックとなり、個人事業主などのカバーは困難だった。