freeeはフィンテックの活用で、この分野での展開が可能と判断した。銀行の審査機能の一部を代替する格好になるが、地銀などと連携しながら事業を拡大する方針だ。日本では始まったばかりだが、先行する米国では年間の融資総額が4兆円規模とされる。
佐々木氏は「小さいビジネスを始める事業主は本業を伸ばすのに懸命な一方、財務の課題に無頓着な場合も多い」と指摘する。
データの蓄積は日に日に進んでいる。AIの精度を高めることで、どんな小さい事業者でもクラウド上のCFO(最高財務責任者)から高度なアドバイスを受けられるようにし、中小企業の経営底上げを図るのが現在の目標だ。
仮想通貨事業で決断、銀行の説得に奔走
フィンテックで汗をかく元日銀マン
既存通貨や決済手段の代替となり得る仮想通貨(暗号資産)。日本銀行から、自動家計簿アプリなどを手掛けるマネーフォワードに転じた神田潤一執行役員は今年4月、約1年前に参入を表明したばかりの仮想通貨交換事業について、大きな決断を迫られた。
神田氏を中心に体制の整備やシステム開発を急ピッチで進めてきたが、無期延期を表明したのだ。
フィンテック業界の動きは激しく、時にジェットコースターのようになることも。
値上がりで一大ブームとなった仮想通貨だったが、昨年1月に仮想通貨交換業者のコインチェックによる流出事件が発生。これは織り込み済みのものとして事業を推進したが、同年9月に同業のテックビューロでも流出が起きた。これで参入の前提条件が変わってしまった。