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東京23区「今どき3世代同居」事情

出生率が高い街ほど3世帯同居率も高い?

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],一般社団法人東京23区研究所
【第7回】 2012年7月17日
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 つながり合い、支え合う

 東京の西側で低く、東側で高いもの。前回取り上げた人口性比がそうだった。性比は所得水準と逆比例したから、3世代同居も所得水準が低い所で高くなる。しかし、この説には大きな矛盾がある。後述するように、住宅事情がひっ迫する東京では、ある程度以上資産リッチでないと、多世代同居ができないからだ。

東京の東で高いものに、街の自己充足度がある。東日本大震災後よく耳にするようになった「自律分散型の街づくり」という言葉と根っ子は同じ。データの世界では、住んでいる街と同じ市区町村で働いている「職住近接」の割合が代表的な指標とされる。

 もっとも、膨大な就業機会が集積する東京では、働く場が多い都心部ほど職住近接の割合が高くなる傾向がある。だが、都心を除けば、職住近接の割合は東で高く、西で低い。西部山の手の各区が軒並み低順位にある一方で、台東、足立、江東、墨田などの各区は都心区に伍して上位に名を連ねる。自区内で学ぶ就学者(学住近接)の割合になると、はっきりと東部の各区が上位を占める。

 東京の東部では、昼の区民と夜の区民の顔ぶれが大きく変わらない。「隣は何をする人ぞ」の都会生活の中にあって、東部の各区では人と人とが地域の中でつながり合い、支え合って暮らしている。その延長線上に、究極のつながりである家族の同居がある。そう考えると、トレンディではないことはむしろ誇りとなる。

住宅事情だけじゃない

 もちろん、3世代同居を望んではいるものの、住宅事情が許さないという人も少なくないだろう。3世代世帯の持ち家比率は83%。全世帯平均の44%はもとより、核家族平均の62%と比べても、その高さは際立っている。住宅の広さも必要だ。3世代世帯の平均住宅面積は112平方メートルで、全世帯平均(62平方メートル)の約2倍、核家族平均(78平方メートル)の1.5倍に迫る。この広さを確保しようとすると、持ち家といっても分譲マンションでは限界があり、一戸建にならざるを得ない。

 東京の東部に3世代同居が多い背景には、一戸建居住者の割合が高いことが一要因として存在する。だが、一戸建比率2位の練馬区は3世代同居14位、同じく世田谷区は5位対20位、杉並区は6位対18位。これらの結果をみると、つながり合い、支え合う多世代同居の生活を望むのか、人と協調する煩わしさから解放された“自由な暮らし”を望むかの意識差が、3世代同居の割合により大きな影響を与えていると考えざるを得ない。

 住宅事情は3世代同居の必要条件である。しかし、十分条件とはいえない。

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池田利道
[一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也
[一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

一般社団法人東京23区研究所

東京23区をさまざまな角度から調査・分析している。マーケティングレポートなどを発行。HPはこちら

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国勢調査の結果は、大規模なデジタルデータベースとしてネット上で公開されているマーケット開拓情報の「宝の山」だ。反面、その内容があまりにも精緻であるがゆえに読み解き方は難しい。当連載では東京23区を例に取り、膨大な国勢調査データを実務に生かすヒントを紹介する。

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