政府が準備している対策は、消費増税そのものや便乗値上げに対して、十分な手当てにはならないかもしれない。しかし一般低所得層の人々は、それらを並べて「まあ、これで、なんとかしなくては」と考えることができる。

 生活保護で暮らす人々には、そのすべてが無縁だ。もしも、2万円で2万5000円の商品券が購入できる「プレミアム商品券」を購入したら、差額の5000円が召し上げられる。年金生活者支援給付金を得たら、その分が生活保護費から減額される。クレジットカードの使用は禁止されているため、ポイント還元の恩恵もない。

 理由は、生活保護費が「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しており、生活保護で暮らす以上、その「最低限度」の範囲で生活することが求められていることにある。

北海道の灯油価格は
中東情勢の悪化でさらに上昇

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 その生活保護費は、もちろん消費増税を考慮して増額される。消費税が8%から10%へと引き上げられることを考慮すると、1.9%の増額が必要なはずだ。しかし、今回の増額幅は1.4%に過ぎない。厚労省が理由としているのは、軽減税率の対象となる食料品などの消費も含まれることである。とはいえ、やりくりが厳しくなった時、生活保護で暮らす人々が最初に削るのは、その食料品なのだ。さらに便乗値上げ、消費増税を見越した値上げ、気候不順による食料品価格上昇が重なると、食料品の買い控えや内容の劣化が起こることは、容易に予想できる。

 間もなく、冬がやってくる。北海道の灯油価格は、もともと本州以南より高い。アキコさんの住む地域では、すでに明け方の気温が5℃前後まで下がっている。生活保護の暖房費補助(冬季加算)は10月からだが、9月にすでに灯油ストーブを使用する日が数日あったという。

 中東の不安定な政治状況は、すでに原油価格を上昇させている。そこに、消費増税が重なる。

(フリーランス・ライター みわよしこ)