GAFAやユニコーン企業がやっていること
――なるほど。以前、ある著者の講演会で、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)等の元気な企業は、徹底的に「仕事の楽しさ」を追求して社員のやる気を引き出している。
そのために脳科学者や心理学者を会社に呼んで、仕事が楽しくなる空間設計に力を注いでいる。脳科学的にも「社員自身が、仕事が楽しいと感じると、業績が上がる」といったデータが出てきているので、GAFAや新進気鋭のユニコーン企業ではそれが常識になっている、という趣旨の話を聞いたことがあります。ただ、日本ではまだまだその考えが浸透しているとは言いがたいですね。特に中小企業では!
能作:おっしゃる通りですね。僕の経験してきたことでいえば、それは間違いないことです。人間は楽しいときに本領を発揮する。やらされた仕事の中ではパフォーマンスは絶対に発揮できませんから。あるとき、工場見学にきた人が、言いました。
「私が工場見学をしたとき、1200度を超える真鍮の前で、筋肉ムキムキの若手職人が真剣に熱風と対峙(たいじ)していました。
その近くでは、軽やかに型をつくる職人。彼の無駄のない動きに度肝(どぎも)を抜かれましたね。
さらに、幼稚園児や保育園児が職人のすぐ横を、電車ごっこをしながら工場見学している姿も印象的でした。まさに、ここは“踊る町工場”ですね」
――うーん。失礼ながら、ここは富山県高岡市の片田舎にある「町工場」ですよね。そこが踊っている? にわかには信じがたい、ある意味、《怪現象》ですね。
能作:そうかもしれません(笑)。今回、私の初めての著書『社員15倍! 見学者300倍! 踊る町工場』にその秘密をすべて書き尽くしました。読んでいただけたらその「怪現象」の謎が解けるかと思います。
――そうなんですか。では読んで謎解きをしたいです。
能作:本社の雰囲気を少しでも知りたい方は、第1回連載もご覧いただけたらと思います。