プレゼンをデザインする

 そのうえで、整理した4つのポイントを次のフォーマットに落とし込むことで、プレゼン全体の流れをデザインする。

なぜ、いま小中学生を対象とする<br />「プレゼン講座」が増えつつあるのか?

 このうち「今回伝えたいこと」「メリット」「クロージング」は、すでに検討済み。ここで重要なのは「つかみ」と「特徴3つ」である。

「つかみ」とは、プレゼン冒頭で相手の気持ちをつかむためのパーツのこと。プレゼンとは基本的に、相手にとっては興味のないものだから、プレゼンテーターが壇上に上がって、いきなり本題を話し始めても「自分ごと」として捉えてくれることはない。そのため、プレゼン冒頭で相手の興味を惹きつけ、「自分ごと」にしてもらう工夫が欠かせないのだ。

 そして、「つかみ」で有効なのは、質問をすることだ。たとえば、「東京都民」を相手に、「鯖江市の魅力」を伝えるプレゼンであれば、「96%」という数字を見せたうえで、「なんの数字だと思いますか?」と問いかけてみる。問いかけれれば「なんだろう?」と考え始めるだろう。この瞬間に、相手は「自分ごと」にしてくれるわけだ。
 ちなみに、答えは「メガネフレームのシェアが96%」。鯖江市がメガネ産業が盛んな地域であるという鯖江市の特徴を効果的に伝えることができる。メガネをかけている人は多いので、「自分のメガネも鯖江市でつくられたのかな?」などと思って、鯖江市を一気に身近に感じてもらえるだろう。

 次に重要なのが「特徴3つ」だ。
 このプレゼンでいちばん伝えたい「鯖江に来てゆっくり過ごして欲しい(癒されて欲しい)」というメッセージに説得力を与えるためには、その根拠となる鯖江市の特徴(魅力)を伝える必要がありますが、「あれもこれも」伝えようとすると、相手には理解しきれず、心を動かすことができません。そこで重要なのが、「特徴3つ」だ。伝えたいことがどんなにたくさんあっても、相手に最も効果的な3つに絞るのがプレゼンの鉄則なのだ。

 これらのポイントを説明したうえで、前田氏は次のような記入例を提示した。

なぜ、いま小中学生を対象とする<br />「プレゼン講座」が増えつつあるのか?

 つかみ:96% なんの数字だと思いますか?
 今回伝えたいこと:鯖江に来てゆっくり過ごして欲しい
 特徴3つ:メガネの産地、ツツジがきれい、レッサーパンダがたくさんいる
 メリット:住みやすさランキング全国7位で快適に過ごせます
 クロージング:是非、鯖江に来てください。

「メガネ」「ツツジ」「レッサーパンダ」という鯖江市の特徴を伝えたうえで、「住みやすさ」という東京都民には得難いメリットを訴求する組み立てになっているのがわかる。