昇進スピードでギクシャクするも
50代以降には再び幸福な関係に
とはいえ、同期にも面倒くさいことがないわけではない。共同で仕事をする場合、担当領域が違い、主従がはっきりしているようなプロジェクトであれば問題ないが、お互いが対等な役割を担って協力し合わなければならないような場合は、意地とプライドの張り合いになったりする。
さらに、仲の良い2人の同期の片方が出世して部長になったのに、もう片方が課長のままだったりすると、この間まで互いに呼び捨てであったとしても、上司だからやっぱり○○さんと呼んだほうがよいのかも?などと、呼び方に困ったりする。会社の序列と個人間の関係は、リンクしないようでやっぱり微妙にリンクしてしまうのだ。
しかし、そのようなギクシャクした関係にも終わりがくる。年月を経て50代にもなってくると、再び若かりし頃の幸せな関係が復活する。役員になる人はごくわずかであり、他はみな、役職定年制で同じ立場に引き戻されるからだ。そのせいか、おじさんたちの同期会の開催頻度は高い。そして、話題は仕事のことより、家族、年金や持病のことにシフトしていく。
ジョブ型採用時代の
同期意識とは?
さて、最近になって、新卒採用時から処遇において大きな差をつける例が報道されている。中でも、データサイエンスやAI関連の人材は引く手あまたであり、初年度から年収1000万円を超える新人もいる。
そうなったのは、企業の人事給与制度が年次管理と相性が良い「職能資格制度」から、「職務等級制度」に変わっているからだ。職能資格制度とは、人材の総合的な能力を評価して、その能力に応じて人に直接値段をつけるものだ。つまり“人”を報酬の基準とする。一方、職務等級制度とは、仕事の内容自体がグレードに分かれており、“仕事”が報酬の基準となっている。
先述のような「AI関連で年収1000万円の新人」の場合、AI関連でレベルの高い職務等級の仕事をその人が遂行することができると判断し、その“仕事”にひもづけた水準の給料を支払うということだ。決して、その人自身の総合的な職務遂行能力が高いため、他の人と比べて高い初任給になるという話ではない。現在はITやAI関連の技術者のケースが突出しているが、本来はそうした領域だけでなく「高いレベルの職務」に就けさえすれば、最初からよい処遇は得られるはずなのである。