もともと、入居者の法的な立場はぜい弱である。たとえ数千万円の入居一時金を払っても、居住権は確立されていない。徘徊がひどくなったりしてホームでの生活が困難になれば、退去を迫られることもある。賃貸借契約で、民法上の居住権が守られているサービス付き高齢者向け住宅とはそこが違う。

 法的な位置づけがあいまいなだけでなく、会計法上のルールもハッキリしていない有料老人ホームの入居一時金。何百万円も何千万円も払って、泣き寝入りしないためにはどうしたらよいのか。

 今特集では、わかりにくい料金体系を明らかにし、要介護の状態や入居年齢に応じた賢い支払い方や、入居金の保全方法の違いによるメリット・デメリットなどを解説している。

見学は忙しい時間帯のランチタイム
そのホームの介護レベルが判別できる

 老人ホームを選ぶ際に何より重要なのが、実際にホームを見学してみることだ。ホームの雰囲気や職員の接遇や態度、内観や設備などは、どうしても直接見てみないことには分からない。職員数といった表面上の数値だけではなく、これらの現場の雰囲気を感じ取ることが肝心だ。

 ある程度、狙いのホームに目星がついたら、まずは直接連絡して見学を申し込もう。“アポなし訪問”で抜き打ちチェックを進める専門家もいるが、実際には予約した方がスムーズだ。

 その際にお勧めなのが、ランチ時間帯などの忙しいタイミングでの見学を希望すること。特に食事介護は、ホームの介護レベルなどがもろに現れるので、多くの専門家がチェックを勧めている。

 例えば、スプーンなどを上から押しこむようにしている場合は、誤嚥する恐れがあり、基本的な介護がおろそかになっている。尊厳的な暮らしを大切にしているホームであれば、車いすから食事用の椅子に移す、食器も陶器を用いるなど、細かい点が配慮されている。

 ホームの見学は巡回コースが決められている場合が多いが、可能な限り食事見学を要望したい。