――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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日本のコーポレートガバナンス(企業統治)改革が奏功し始めている。その成果は今後も高まりそうだ。日本経済の成長見通しはさえないものの、これは割安な日本株に対して期待を膨らませる十分な理由になる。
日本の株式市場は過去10年にわたり、米国を除くすべての先進国をひそかにアウトパフォームしている。その多くは、高い経済成長からもたらされたものではない。日本の成長率は同国の基準からすれば堅調だが、他国から見れば素晴らしい水準とはとても言えない。
しかしながら、過去数年にわたり日本政府が進めた企業統治改革が、ここにきて目立った効果をもたらしつつある。 企業は株主への利益還元に一段と前向きになっており、物静かな日本の投資家にも、アクティビズム(物言う株主が企業に経営改革を迫ること)が受け入れられるようになってきた。
CLSAのニコラス・スミス氏によると、 9月末時点で東証株価指数(TOPIX)構成企業の自社株買いは前年比164%増と急増した。日本企業が株主還元の強化に本気で取り組む気なら、極めて実行しやすい環境にある。日本の上場企業は巨額の手元資金を抱えており、負債資本倍率(DEレシオ)は欧米企業の水準を大きく下回っている。