フランスのブランドは
哲学があるから生き残っている

AI時代には、人間を学び、哲学を持つ人間しか生き残れない。

哲学がなければ淘汰されるのは、企業も同じである。
ルイ・ヴィトンやエルメスといったフランスの老舗ブランドが、時代を超えて世界中で愛されている背景には、フランス人らしい哲学性がある。

フランス人というのは、聖と俗を合わせ持つ不思議な人びとである。
フランス人の俗っぽい部分を批判的に取り沙汰するのは、お隣のイギリス人だ。

イギリス人は、フランス人と大昔から争ってきた歴史がある。
14世紀から15世紀にかけての百年戦争は、100年以上続いた。
そうした経緯があるため、イギリス人はフランスの俗の部分に偏見を持って軽蔑しており、イヤらしい言葉にはかなりの確率でフランスを絡めている。

ディープ・キスのことをフレンチ・キスと初めて呼んだのは、イギリス人ではないか。
私はそう睨んでいる。

一方、フランスでは、学術書レベルの哲学書がベストセラーになることがある。
少々古い本だが、日本の哲学界にも影響を与えたジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリの『アンチ・オイディプス』、ミッシェル・フーコーの『言葉と物』などがそうだ。

これはイギリスでも日本でも考えられない現象である。
フランスの聖なる部分の表れだと思う。

国際社会を席巻しているアメリカ企業の特徴は、ユーザー第一主義だ。そういうと聞こえは良いが、悪い言い方をするなら顧客迎合主義である。