産業観光に力を入れる「4つ」の理由

能作:僕が産業観光に力を入れる理由は「4つ」あります。
1.ものづくりの魅力を広く発信し、伝統技術の継承や地域の活性化につなげる
2.県内観光(富山県)のハブ的な役割を果たす
3.産業観光に取り組む企業が増えるように、轍(わだち)をつける
4.子どもたちに、地域の素晴らしさ、伝統産業の素晴らしさを伝える

――なるほど。

能作:産業観光の取り組みが少しずつ地域に認められ、職人に対するかつての偏見は、「憧れ」に変わりつつあります。
「3K職場」として見向きもされなかった能作に、今では「職人希望」の若者が全国から集まってきます。
 幼少期の工場見学がきっかけで、後に「職人」として能作に入社した女性社員もいます。

――以前の回に出てきた方ですね。

能作:はいそうです。事業の拡大にともない、職人は約60人まで増えました。

――御社の平均年齢はだいたいいくつくらいですか?

能作:平均年齢は32歳。錫製品のシリコーン鋳造(能作の独自技術)をはじめ、錫製品の医療分野への応用など、新たな技術の研究開発に携わる職人もいます。
 旧社屋には、移転前年(2016年)で、年間約1万人の見学者が訪れるようになっていました。新社屋では、インフラが整ってきたこともあり、初年(2017年)に倍の2万人の来場を見込んでいました。
 しかし、出足好調で目標を5万人に上方修正。
 さらに現在では、それをも大きく上回る「月1万人ペース」(年間12万人)の来場が続いています。