(上)「eスポーツブロック」(ブロックくずし)。ゲーム大会で盛り上がるのは一部のファンのみ──「eスポーツグラウンド」はそんな先入観をも覆す。(中)筆者も「eスポーツボール」をプレイさせてもらった。エアホッケーのように、バーチャルボールをほんの1、2分打ち合っただけで息が上がり、汗をかく。ウォーミングアップにも、本気で取り組むのにも適している、これは“スポーツ”だ。(下)「ウォーク・De・カルク」は、簡単な足し算と引き算をしながら、赤い丸(ゴール)に表示された数字と同じ数になるように、マスを進んでいくゲーム。身体と同時に頭も鍛えられる。

 まるでSFの世界だ。足もとを光の球が飛び交い、コンピューターゲームの中に自分が入り込んでしまったような感覚──。

「eスポーツ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは“Electronic Sports”の略で、競技性の高いテレビゲームやビデオゲームで行なわれる、新しいジャンルのスポーツのこと。

 たかがゲームと言うなかれ。1990年代後半から海外ではとてもメジャーなスポーツで、スポンサーと契約を結んだ“プロ選手”がいれば、何億円もの賞金がかかった大イベントも定期的に開催されている。

 このような世界的な動きを受け、さらにはゲーム人口の増加に伴って、日本でもeスポーツを普及させる動きが見えてきた。6月には東京原宿で第2回「eスポーツJAPAN CUP」(主催:日本eスポーツエージェンシー)が行なわれ、次回は9月、12月と、定期的な開催を予定している。

 そんななか、eスポーツの“e”と“スポーツ”を、真の意味で融合させたスポーツクラブがある。全国に103店舗を展開する株式会社ルネサンス(本社:東京都墨田区)は、世界で初めて体感型ゲーム「eスポーツグラウンド」をスポーツクラブに導入した。

「好きなときに身体を動かしたい、健康を保ちたい、今より5kg痩せたいというように、運動の目的は人それぞれですが、一番の問題は継続性にあります。そこで、
エウレカコンピューター株式会社が開発した『eスポーツグラウンド』のプラットホームを活用して、ゲーム性が高く、楽しく身体を動かすことができるオリジナルコンテンツを開発、導入しました」(スポーツクラブ&スパ ルネサンス 経堂・佐々木支配人)

「eスポーツグラウンド」は、天井の四隅に設置されたセンサーでプレイヤーの動きを読み取り、プロジェクターがゲーム画面を床に映し出す。8m×6mほどのバーチャルコートでは、同社のオリジナルコンテンツ以外にも、エアホッケーやブロックくずしなど3種類のプログラムを楽しむことができる。冒頭の模様はそのときのもの。

「eスポーツグラウンド」を介した利用者様同士の交流も盛んです。月に1回、トーナメント方式の大会を開催するほか、上達を目的として自主的にサークルを立ち上げた方もいます。プログラム別、個人別にスコア集計ができるため、個人得点のトップを目指すもよし、友人同士で競うもよし、ゲーム感覚で続けられる方が多いですね」(同)

 今後は開発会社との業務提携を深め、新たなゲームプログラムの開発や、それをベースにした新たなトレーニングプログラムの開発を行ない、全国のルネサンスに展開していきたいという。

 世界大会も行なわれているeスポーツ。いずれ日本でもプロリーグが発足し、結成された日本代表チームに付いた名前が“バーチャルジャパン”。eスポーツ界のニューヒーローが、ヨーロッパの強豪チームに過去最高の契約金で移籍──。といったニュースが現実のものになる日も近い……かもしれない。

(筒井健二/5時から作家塾(R)