羽交い締めにして激辛カレーを目にこすりつける、無理やり食べさせる、女性にわいせつなLINEを送らせる、被害者の新車の上に乗る、体をたたく、足を踏む、送迎や飲食の強要、所要物の器物損壊……。さらに激辛カレーを食べさせる様子は動画撮影されていた。

 本来、職場の中で先輩から後輩に行われる人権侵害行為は「パワハラ」と呼ばれてきた。しかしパワーハラスメントは、業務上の横暴な指導や抑圧的な行為を指すことが多く、今回の場合、「横暴な指導」ですらない悪質な嫌がらせ行為であることから、「いじめ」と形容したくなる気持ちもわかる。

 一方でネット上では「いじめなんて表現は生ぬるい。犯罪と呼ぶべき」という声も上がっていて、これももっともだ。子ども同士のいじめであっても、最近は「犯罪として対処できるほど悪質なものはそうした方がいい」といった声も多い。今回被害を受けた教諭も、刑事告訴を検討しているという報道もある。

 個人的には、一昔前よりも「いじめ」の深刻さに対して理解が広まり、「いじめは子どもが遊び半分で行う軽い加害行為」といった認識から、「人の一生を傷つけることもある深刻な人権侵害」へと言葉の受け取られ方が移行しつつあるとも感じる。これは「パワハラ」「セクハラ」も同様だ。

 言葉への認識はさておき、実際のところ、今回の小学校だけではなく、職場などで「大人のいじめ」に遭ったり、目撃したりしたことのある人はそれなりにいるのではないか。パワハラとも呼べない、幼稚な「大人のいじめ」の実態を聞いたところ、複数のエピソードが集まった。

苦手な料理を無理やり……
ストレスフルな職場でのいじめ

「今回の小学校教師の“いじめ”報道を見て驚きました」と話すのは、30代の男性Aさん。新卒で入社した広告代理店で、似たことがあったという。

「社員が20人、アルバイトが10人程度の小さな会社だったので、良くも悪くも同僚との距離が近くならざるを得ないし、上司が部下のプライベートを把握するのは当然、みたいな空気がありました。

 暴力や暴言こそ少なかったものの、恋人や配偶者の写真を見せることを強要されたり、繁忙時に女性社員に弁当を作らせたり、飲み会では必ず3次会まで全員参加だったり、嫌なことは多々ありました。