外国投資家の審査を強化する案は日本を少しばかり安全にするかもしれない。だがそれは、投資環境の改善に注いだ長年の労力を無にする代償を伴う。財務省が今週公表した提案が実施されれば、一部の国内上場企業の持ち株比率が1%に達した海外の株主は当局に届け出なければならなくなる。これまでは10%以上保有する株主が対象だった。対象業種は防衛、通信、海運など多岐にわたるが、日本の上場企業3680社のどれが対象業種に含まれるか厳格には決められていない。決めるのは投資家の責任だ。警戒を要する中国の投資に対する政府審査の強化が暗黙の狙いのようだが、外国投資家のはるかに幅広い活動に影響が及ぶだろう。手続きが日本語に限定されている現行の届け出は、書類ベースとなっており概して面倒だ。基準を超えた投資家が政府に届け出ることで審査が開始され、出資の撤回につながる判断が下される可能性もある。判断には30日かかるが、財務省は審査期間を短縮するとしている。