『「原因と結果」の経済学』
著者からのメッセージ

 『「原因と結果」の経済学』 発売以降、非常に多くの方からご好評賜り、誠にありがとうございます。

 「ビッグデータ」が流行語となる現代、データを用いた分析は氾濫していますが、データはそれのみでは単なる数字の羅列にすぎません。データを用いた分析を「どう解釈するか」ということが極めて大切です。

 「因果推論」が私たちのような研究者の専売特許であった時代はすでに過ぎ去ったのではないでしょうか。

 永田町・霞が関では、「室内完全禁煙」「メタボ健診の義務化」「待機児童問題」などが議論されていますが、残念なことに、現在の政策的な議論が因果関係を示唆するエビデンスに基づいて行われたものとはとうてい言えません。

 それどころか、選挙が近づくと、短期的に得票に結びつくような政策ばかりが議論され、これまで公約とされてきたことが覆ったり、突如として何の根拠もない政策が強引に推し進められたりして、結果として納税者である国民の利益が著しく損なわれているのをたびたび目にします。

 まさに、「次の世代」よりも、「次の選挙」が重んじられた結果です。

このような有様を見るたびに、「選挙や政局といった一時的なポリティカルショーに左右されるのではなく、長期的な視点に立って、国民の社会的厚生(=幸福)を最大化することができないものか」と思います。

 そのためには、「政治的流行に左右されやすい政策を、エビデンスに基づくものにする」ことが重要なのではないでしょうか。

 経済学がこだわる「因果関係」を示唆するエビデンス。それを生み出すために体系化された「因果推論」。それらが、データ氾濫時代を生きる読者の皆さんの助けになるならば、これに勝る喜びはありません。

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【ダイヤモンド社からのお知らせ 】

「原因と結果」の経済学 告知情報中室牧子、津川友介:著 価格:¥1600 +税 発行年月:2017年2月 判型/造本:46並製、208ページ ISBN:978-4-478-03947-2

『「原因と結果」の経済学――データから真実を見抜く思考法』 
週刊ダイヤモンド 2017年「ベスト経済書」第1位!

ビッグデータ時代の必須教養「因果推論」の考えかたがわかる!

・「メタボ健診」と「長生き」のあいだに因果関係はあるか
・「医師の性別」と「患者の死亡率」のあいだに因果関係はあるか
・「認可保育所の数」と「母親の就業」のあいだに因果関係はあるか
・「友人の学力」と「自分の学力」のあいだに因果関係はあるか
・「大学の偏差値」と「収入」のあいだに因果関係はあるか

このように、「2つのことがらのあいだに因果関係はあるか」を正しく見抜く方法論「因果推論」を、前提知識なし、数式ゼロで徹底的にわかりやすく解説。身の回りにあふれる「もっともらしい通説」にだまされなくなる! 

2017/7/5 NHK Eテレ『オイコノミア』著者出演で大反響!
各方面から絶賛の声多数!

「私たちがいかに思い込みに左右されているかを教えてくれます」(池上彰氏)
「騙されないで正しくデータを利用するための必読書」(大竹文雄氏 大阪大学社会経済研究所 付属行動経済学研究センター 教授)
「現代の新教養の画期的な入門書」(安田洋祐氏 大阪大学大学院経済学研究科 准教授)

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【目次】
第1章 根拠のない通説にだまされないために 「因果推論」の根底にある考えかた
第2章 メタボ健診を受けていれば長生きできるのか 因果推論の理想形「ランダム化比較試験」
第3章 男性医師は女性医師より優れているのか たまたま起きた実験のような状況を利用する「自然実験」
第4章 認可保育所を増やせば母親は就業するのか 「トレンド」を取り除く「差の差分析」
第5章 テレビを見せると子どもの学力は下がるのか 第3の変数を利用する「操作変数法」
第6章 勉強ができる友人と付き合うと学力は上がるのか 「ジャンプ」に注目する「回帰不連続デザイン」
第7章 偏差値の高い大学に行けば収入は上がるのか 似た者同士の組み合わせを作る「マッチング法」
第8章 ありもののデータを分析しやすい「回帰分析」