東日本地域で50以上の河川の堤防が決壊するなど、大きな水害をもたらした台風19号。

 被害の全容はいまだ見えないものの、気象庁が「沖永良部台風」(1977年)以来、42年ぶりに名称を付けることを検討していることからも、その広範さと甚大さがうかがえる。

 水没した家屋の補償など被災者の生活再建に向けて、損害保険各社が対応に追われる中で、じわじわと浮かび上がってくる一抹の不安がある。

 それは、損保各社のやや楽観的ともいえる業績予想と財務運営に対する不安だ。

 上表にあるように東京海上、MS&AD、SOMPOの大手3グループが、2019年度の国内自然災害における保険金として期初に想定していたのは、正味の支払いでそれぞれ500億円強。

 一方で、9月上旬に発生し千葉県などで大規模な停電を引き起こすなどした、台風15号による風水害も踏まえると、各グループとも支払保険金は1000億円を超えそうな勢いだ。

 想定を超える保険金の支払いは、当然ながら損保各社の財務を直撃する。

 損保各社は災害による多額の保険金支払いに備えて「異常危険準備金」を積み立てており、支払い態勢への懸念は少ないものの、業績面では火災保険における損害率の悪化によって、最終利益(修正利益ベース)を大きく押し下げる。

 つまり、期初に発表した業績予想を下方修正するリスクが高まっているわけだ。

 数十年に1度とされる大規模災害が、重なるようにして発生してしまった――。かつてはそう総括し、翌年度以降の業績に期待してほしいと市場に対し説明すれば済んだ部分があったが、今となっては難しい。

 なぜなら損保業界は昨年度、台風21号をはじめとして大規模な災害が相次いだことで、総額1.6兆円という過去最高となる保険金の支払いを余儀なくされ、大手が軒並み修正利益ベースで減益となった経緯があるからだ。

 一昨年には米国に大型のハリケーンが3度にわたって襲来し、甚大な被害が発生したために海外子会社の利益が大きく悪化したこともあり、損保が数十年に1度としていた「想定外」が3年連続で起きたことになる。