アパマンローンを
申し込んでくる人は“いいカモ”

上念 司(じょうねん・つかさ)
1969年東京都生まれ。1993年中央大学法学部法律学科卒業。在学中は日本最古の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年より、経済評論家・勝間和代と「株式会社監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任。現在は代表取締役。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として経済政策、外交防衛政策など著書多数で、『もう銀行はいらない』(ダイヤモンド社)、『経済で読み解く日本史 文庫版五巻セット』(飛鳥新社)、『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』(講談社+α新書)などがある。テレビ、ラジオなどでも活躍中。

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 不動産業向け貸出の内訳を業態別にみると、⼤⼿⾏では、不動産投資信託(REIT)を含む中⼩企業等向けを中⼼に、貸出残⾼は前年⽐3%台の伸びとなっている(図表III−1−14)。地域銀⾏では、⼤⼿⾏に⽐べて残⾼の伸び率は依然として⾼いものの、個⼈による貸家業向けの減速を主因に、2016年末をピークとして伸び率は低下傾向にある。この背景として、供給側では、与信の業種集中への意識や、業者からの持込案件の質の悪化等から貸出スタンスを慎重化させる⾦融機関が増えていることが挙げられる(V章参照)。また、需要側では、空室率が⼀部エリアで上昇するなど貸家市場の需給に緩みが⽣じていることや、収益の⾒込める好⽴地の投資物件が減少していることなどが寄与しているとみられる。ただし、既述の通り、信⽤⾦庫の中には、不動産賃貸業向け貸出をより積極化させている先もみられる(図表III−1−12)。
[出典:金融システムレポート2018年10月]
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr181022a.pdf
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 賃貸住宅を建てると税務上の資産評価を圧縮できるケースが多いということもあり、貸家業を営む個人は節税対策を目的とする土地持ちの資産家が多いです。
 
 彼らは土地だけでなく、預金、株式などもたくさん保有しているため、銀行に担保を十分に差し出すことができます。
 銀行は事業の将来性よりも担保を重視しているということが、ここでも見て取れます。

 もちろん、アパートやマンションを建てまくったら、賃貸市場はいずれ供給過剰になり、予定した家賃収入は得られなくなるだろうことは、素人にでもわかりそうなものです。
 ところが銀行は、「供給過剰なのでやめておいたほうがいいですよ」などというアドバイスはしません。
 なぜなら、アパマンローンを申し込んでくる人は、いいカモになるからです。

 このカモこそが、非効率で時代遅れの銀行のビジネスモデルを支えてきました。
 それは、先ほど見たグラフでわかることです。
 非常に腹立たしいことですが、ここではこれぐらいにしておきましょう(後ほど詳しく解説しますのでご期待ください)。

【次回へ続く】