言葉がけひとつで、子どもが「自信」をつけたエピソード

  言葉がけについては、以前、とても印象的なことがありました。
  お父さんが外国人の幼稚園児だったのですが、髪の毛が日本の子どもとは違って、チリチリに盛り上がっていました。
  この年頃の子どもは、見た目の違いで明らかに差別をしてきます。
  おそらくその子も、幼稚園で相当からかわれたのでしょう。
  泣きながら私に、「幼稚園に行きたくない」と訴えてくるのです。

  私は、その子にこう言ってあげました。

「なんで~、かわいいじゃない。いまの芸能人を見てごらん。あなたみたいな髪の毛をした子が大勢いるから。みんな、わざわざあのような髪型にしているんだけれど、あなたはもともとそういう髪型なんだから、トクしてるじゃない」

  その後、次のようにもつけ加えました。

「もし、その髪型をからかってくる子どもがいたら、『私の頭から火が出てこんな髪型になっているんだから、あまりからかうと、そのうち頭から火が出るぞ~』と言って脅かしてやりなさい」

  1年後、またその子に会いました。
  とても元気でした。
  幼稚園にも楽しく通っています。
  からかってきた子どもたちになんて言ったのか、と聞いてみたら、
「頭から煙が出て、爆発するぞ~」
  と言ったのだそうです。

  そのひと言で、他の子たちは2度とその子のことをからかうようなことはしなくなったそうです。

  本当に、ちょっとしたことではあるのですが、こうしてその子は自信を持つようになりました。

これからのキーワードは「生き抜く力」

  言葉の力は、人が生き抜いていくうえでとても大切です。
  そのことを、この子は小さいながらも学んだのではないでしょうか。

  これからの時代、「生き抜く力」がとても大事です。
  世の中はどんどんグローバル化が進み、競争が激しくなってきています。

  就職するにしても、非常に厳しい時代がやってきました。
  かつての高度経済成長期のように、日本国内には常に就職口があり、誰もが安定した生活を送ることができるという時代は、もうとっくに過去のものです。

  今後は、就職先を海外に求めなければならない時代がくるかもしれません。

  そのようなとき、単に学校の成績がいいというだけでは、とても通用しません。
  どんな状況下であっても、生き抜いていくことのできる、強い子どもを育てる必要があります。

  幼児教育に熱心な親もいますが、ほかにも大事なことはたくさんあります。

  勉強は、後からでもなんとかなる。それよりも、子どもが自分の力で生き抜いていく力を身につけさせましょう。

  そのためには、子どもへの言葉がけをきちっと行い、言葉の力を身につけさせること。
  それができれば、育てるのが難しいと言われる男の子も、すくすく育っていくはずです。

【お詫び】このページの中ほどに食物アレルギーの方々に対する配慮を欠いた記述がありましたので、該当部分を削除して、お詫びいたします。

 


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久保田カヨ子(くぼた・かよこ)
1932年、大阪生まれ。脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた独自の久保田式育児法〈クボタメソッド〉を確立。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。2008年、株式会社『脳研工房』を立ち上げ、現在代表取締役。 著書に、10万部を突破した『カヨコばあちゃん73の言葉』(ダイヤモンド社)、競氏との共著書に、『脳科学おばあちゃん久保田カヨ子先生の誕生から歩くまで 0~1才 脳を育むふれあい育児』(主婦の友社)などがある。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。
【脳研工房ホームページ】 http://www.umanma.co.jp/