霞が関官僚の残業霞が関にある官公庁の明かりは夜になってもなかなか消えません Photo:PIXTA

国家公務員(官僚)の長時間労働が深刻な問題になっている。そこで、その解決策として国会審議をインターネットで行うことを提案したい。これによって官僚の残業が減るだけでなく、大臣たちが外遊しやすくなるなど、得られるメリットが大きいからだ。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

官僚の大残業の主因は「国会答弁の作成」

 官僚は多忙であるが、その主因の一つが「国会答弁の作成」だといわれている。議員が政府に質問を通告してから官僚が答弁案を作り、それを答弁者たる大臣等に説明するわけだが、質問通告が質問の前日夜になると、官僚の作業が深夜に及ぶのみならず、「誰が作業を担当するのか不明なので、帰ってよいと言われるまで、官僚は全員職場に残っていろ」といった事態に陥る。

 質問通告とは、議員が事前に政府に質問内容を通知する慣習的制度である。与野党は、2日前の正午までに通告するように申し合わせているが、それが守られていないのが実態のようだ。

「質問通告などしなくても、大臣がその場で答えればよい」と建前を述べるのは容易だが、それだと「事実関係を確認しないと即答できない」という答弁ばかりになり、国会での議論が非効率になるのみならず、建設的な議論が期待しにくくなってしまう。

「申し合わせがあるのだから、皆が守ればよいだけのこと」というのも簡単だが、守られていない実態からスタートした地に足のついた対策が望まれるところである。

 そこで筆者は、「質問通告をインターネットに公開する」ことを提案したい。そうすれば、誰がいつ質問通告をしたのか、白日の下にさらされるので、前日の夜に質問通告する議員は減ると考えられるからだ。

 主権者たる国民にとっては、誰がいつ何を質問するのかわかるようになるため、国会中継を何時から何時まで見るべきかを判断する材料になるだろう。