政府は、男性の国家公務員について、原則として1ヵ月以上の育児休業取得を促すための具体策をまとめ、2020年度からの実施を目指すとした。これは公務員が率先して取り組むことで、男性全体の育児休業取得率を向上させる目的がある。この背景には、核家族の比率の高まりで、両親の支援が得られ難い子育て世帯が増える一方で、子育てが夫婦の共同責任という意識も高まっていることがある。
他方で、平均的な男性の育児休業取得率は、2018年度で女性の82%に比べて6%と著しく低い。かつ、その内でも5日未満が36%、2週間以内が71%と、ごく短期間にとどまっているのが大きな特徴である。これは子育てが基本的に女性の責任であり、男性はその補助的な役割にとどまるという考え方が、経営者や職場の管理職等では普遍的なためと考えられる。
こうした中で導入されるのが今回の促進策だが、国家公務員なら、その育休取得率を無理にでも引き上げられるのだろうか。また、仮に公務員で目標が達成できれば、民間企業でも同じことが実現可能なのか。
2018年には10%の大台に乗った
国家公務員男性の育休取得率
男性の国家公務員の育休取得率は、2015年には3.1%と民間企業の社員と大差ない水準であったが、その後急速に高まり、2018年には10%の大台に乗った(図)。なお、一部で報じられた男性公務員の育休取得率26%という高水準の数字は、自衛隊等の特別職を除いたものである。政府も2020年までに13%達成という目標を掲げているが、これは国家公務員全体を対象としている。
国家公務員には民間のように雇用保険が適用されないため、育休取得中の金銭補償は、共済組合から支給されている。また、育児休業とは別に、民間にはない配偶者出産休暇(2日間)と育児参加休暇(5日間)があり、両者を合わせて5日以上使用した者の比率は、2018年に初めて5割を超した。これは配偶者の出産時に男性が休暇を得るには、予め事前の手続きが必要な育休を用いなければならない民間社員と比べて有利な点である。