個人情報保護法改正と
マイナンバーカードの普及がカギを握る

――情報銀行という言葉は聞こえてきても、全体像はなかなかつかめません。

個人情報を自ら運用できる!動き出した「情報銀行」のメリットと課題花谷昌弘(はなたに・まさひろ)
1996年NTTデータ通信株式会社(当時)入社。1996年~2004年まで、主にシンガポール、マレーシアでの海外事業に携わる。2009年より、マイナンバーに関する社内での新規ビジネス創発を主導。2016年より、パーソナルデータビジネス、ブロックチェーンビジネスなと゛の新規ビジネス創発を主導し現在に至る。2018年内閣府総合科学技術・イノベーション会議データ連携基盤サブWG委員。MyData Global会員。

 情報銀行をどのように活用すれば、個人にも社会全体にとっても価値があるものになるのかは、まだ模索の段階です。いまは法律家、行政、企業、学術など各専門家が、それぞれの立場で情報銀行のあり方を捉え、それが報じられているだけで、全体を見渡す鳥の視点を持てる専門家はまだ少ないといえます。

 カギとなるのは、来年にも実現するとみられる個人情報保護法の改正と、マイナンバーカードの普及だと見ています。

 現行の個人情報保護法では、個人が自分の情報を保有者に対して開示請求はできるのですが、機械が読み取り可能な形式、つまりデジタルでの提供は規定していませんし、無料にしろとも書かれていません。多くの場合は、手数料を払って書面を受け取る形です。これでは情報は流通しません。今回の改正に際しては、電磁的形式での提供が議論され、これが規定されれば情報の流通は一気に広がる可能性があります。

 また政府は、現状では普及率2割以下に留まっているマイナンバーカードを2023年3月末までに「ほとんどの住民が保有」するまでに普及させる目標を掲げています。その起爆剤として準備しているのが、健康保険証の機能の付加です。健康保険証はだれもが持っているものなので普及は進むでしょうが、それ以上に複数の医療機関に散らばっている医療情報が、個人に紐付けられることに意味があると思われます。どの医療機関でもその人の治療履歴を確認でき、検査データを共有できるようになります。また、マイナンバーカードが行き渡れば、たとえば、マイナポータルなどを通じて行政が保有する情報を情報銀行に流通させることで、自治体の住民サービスやビジネスでの利用のプラットフォームにもなります。

 このように、流通が可能になった個人情報を公正に運用するのが情報銀行です。

 ただし、情報銀行が本領を発揮するためには、企業が個人情報を利用するメリットを見いださなければ、情報の流通は起きません。いまは情報を他社に渡さないことが競争力とされていますが、180度転換して企業間で共有することのメリットの方が大きいと確信できる仕組みが必要です。有用性が確認され、国民にも情報銀行が認知されるまでに3~5年、そこから、個人が情報銀行にデータを預けて管理・運用するスタイルが浸透するまでに10年くらいかかるのではないかと予想しています。