消費増税でも買い物消費増税から1ヵ月半がたった今もまだ、個人消費には大きな落ち込みは見られていません Photo:PIXTA

消費増税は、駆け込み需要と反動減という好ましくない景気変動をもたらすが、今回はそれがコントロールされている模様である。その背景には、どういった要因があるのだろうか。そして、今後もこの状況は続いていくのだろうか。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

消費増税がもたらす2つの問題
「実質所得への効果」と「駆け込み需要」

 前回、消費税が5%から8%に引き上げられた2014年には、駆け込み需要も大きかったが、その反動減が人々の予想を上回る大きさとなった。そして、景気が腰折れするのではないかといった懸念まで広まった。

 それと比べると、今回は穏やかなスタートが切られたようだ。その理由としては、実質的な増税幅の小ささ(そもそもインパクトが小)、駆け込み需要に対する抑制策(山低ければ谷浅し)、反動減の平準化(谷をならす政策等)などが考えられる。

 消費増税は当たり前ながら増税であるから、給料が増えずに増税分だけ商品の「値上げ」になり、人々の実質所得を減らす。したがって、それが実質消費を減らし、景気にマイナスの効果が出るのは当然である。

 この点について、今回の場合は増税幅が2%と前回(3%)より小さく、軽減税率を導入したり、幼児教育無償化やポイント還元制度などによる景気対策が講じられたりしている。こうした政策によって、実質所得のマイナス効果は大きくなかったため、景気の落ち込みが軽微だったと考えられる。

 消費増税がもたらすもう1つの問題は、駆け込み需要と反動減という好ましくない需要の変動を生み出すことである。この点についても、駆け込み需要と反動減は前回ほど大きくないようだ。

 増税幅が小さかったことにより、駆け込み消費をするインセンティブが小さかったことも挙げられるが、駆け込み需要と反動減を抑制する工夫も奏功したのであろう。