日本人の方に伺うと、「いやいや、別にいつもきれいなわけじゃない」とおっしゃいます。しかし、それは日本人のトイレに対する期待値の水準がすごく高く、その期待値には常には到達していないからでしょう。しかし、私のような外国人が行くような場所では、常にトイレはきれいな状態だと感じます。

 もう1つ素晴らしいのは、トイレを清掃する人たちがきちんと教育やトレーニングを受けている点です。彼らは決してやっつけ仕事ではなく、きちんとプライドを持ってトイレ清掃の仕事をされているのがわかります。

 トイレのデザインも優れています。ライティングの位置、手を乾かすハンドドライヤーの位置など、動線がとてもよく考えられていると思います。

――「日本の最大の輸出資源は日本のトイレ文化だ」とおっしゃいましたが、実際には日本の温水洗浄便座などは海外にまだあまり輸出されていません。なかなか普及しないのはなぜでしょうか。

 理由は2つあると思います。一番大きいのがマーケティングやプロモーションの問題、もう1つが修理などアフターケアのインフラの問題です。コストはあまり問題ではないと思います。

 前者については、本来であれば、イスラム教諸国やヒンズー教の国々では、排泄時に水を使って洗う文化がそもそもあるので、温水洗浄便座はすごく売れるはずです。

 近年、TOTOが北米に進出し、認知度はだんだん上がっているようですし、日本を訪れた中国人観光客の中には温水洗浄便座を買って帰る人がたくさんいます。最大の問題である、プロモーションの問題を解決すれば、もっと世界に広がっていくのではないでしょうか。

トイレを作るのは簡単でも
ずっと使い続けてもらうのは難しい

――世界各地でトイレの普及に力を入れる中、実際にトイレを設置しても、汚いまま放置されたり、倉庫と化したりすることが多いと著書『トイレは世界を救う』でも語っています。ではどうすれば、トイレ後進国にもトイレ文化を広められるでしょうか。

 トイレを作ることは比較的簡単ですが、トイレをきちんと使い続けてもらう文化を根付かせるのは容易ではありません。しかし、自分たちがトイレの必要性を感じて、自らのお金を使って建てたトイレであれば、使い続けてもらえます。