【バロンズ】フィンテックの恩恵、IT株より銀行株
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進まないビッグテックによる金融参入

 ウォール・ストリート・ジャーナルは、グーグルが当座預金口座サービスを開始すると報道した。親会社のアルファベット(GOOGL)にとっては、ドローンによる商品配達以来の沸き立つような冒険となる。同社は銀行大手のシティグループ(C)と提携し、さらにスタンフォード大学のクレジットユニオン(信用組合)もこれに加わるという。その他にも、アップル(AAPL)は投資銀行大手のゴールドマン・サックス(GS)と提携して新しいクレジットカードを発行した。しかし、フェイスブック(FB)は仮想通貨の発行を延期し、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も若年層や銀行口座を持たない顧客向けに当座預金口座サービスを検討していたが、今のところ実現していない。

 「ビッグテック」と呼ばれる大手情報技術企業による伝統的な銀行業への参入は、遅々として進まないようだ。1994年にビル・ゲイツ氏が「今の銀行はなくなる」と発言したことは有名だが、実際には銀行の資産は当時から3倍近くに膨らみ、利益は5倍に拡大した。もし1994年に銀行大手JPモルガン・チェース(JPM)の前身の企業に投資していれば、今ごろS&P500指数への投資額の2倍を超える金額を手にしていたことになる。

 企業戦略コンサルティング会社のcg42が昨年実施した調査によると、調査対象のミレニアル世代の20~25%が、アマゾン、グーグル、アップルが銀行業に参入した場合、現在の銀行からの乗り換えを検討すると回答した。さらにcg24は、バンク・オブ・アメリカ(BAC)およびウェルズ・ファーゴ(WFC)は今年1年間で預金額を減らすが、ITテクノロジーへの投資を加速させているJPモルガン・チェースが受ける影響は限定的だろうと予測していた。果たして、これらの銀行の預金残高は昨年から増加し、バンク・オブ・アメリカの株価はJPモルガン・チェースと拮抗する程の好調なパフォーマンスで、どちらも市場平均を上回った。