タクシーの配車アプリの競争が激しくなっている。「Japan Taxi」が早くから取り組み、DeNAが運営する「MOV」、ソニー系の「S.RIDE」、ソフトバンクが支援する中国発の「DiDi」、米国「Uber」などサービスが乱立している。そんなタクシーアプリの各社勢力図や展望について、モビリティジャーナリストの森口将之氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)
Uberがきっかけとなって
配車アプリが流行
いまやタクシーは手をあげて止めるものではなく、スマホ上で呼ぶものとなりつつある。そこで活躍するのはタクシーの配車アプリだが、その覇権争いが激しさを増している。
現在、日本では5つの大手タクシー配車アプリがあり、それぞれ大企業がバックについている。まずは、このようなアプリが発達してきた文脈とそれぞれの成り立ちを整理していこう。
「配車システムの世界的なきっかけになったのはUberでした。Uberは2009年に創業すると、翌2010年には配車、ライドシェアサービスをアメリカで開始しました。日本では、ジャパンタクシーが2011年に配車アプリサービス『Japan Taxi』を開始しました。海外と日本でサービス開始の時期はそこまで差はないですが、やはりパイオニアはUberといえるでしょう」(森口氏、以下同)
そのUberは2014年、日本においてタクシー配車サービスを始めた。一方、迎え撃つ格好になったジャパンタクシーには、タクシー大手の日本交通が出資しており、外資VS.国内企業のシェア争いが数年続いていたのだ。
しかし、昨年から新興勢力が相次いで参入。2018年6月に、海外ではUberと肩を並べる中国の滴滴(ディディ)が、ソフトバンクとの合弁会社DiDiモビリティジャパンを設立。同年9月に第一交通産業などと提携し、大阪でサービスを開始した。現在40社以上のタクシー会社と提携し、東京、兵庫でもサービスを行っている。
さらに、DeNAは神奈川県内で提供してきた配車アプリ「MOV(モブ)」の提供を2018年12月から都内でも始め、今年7月からは大阪、京都でも利用可能となった。また、ソニーが大和自動車交通や国際自動車といった都内タクシー大手5社と共同でみんなのタクシーを設立。4月に配車アプリ「S.RIDE」を始めている。
このように現在、日本はタクシー配車アプリ群雄割拠の世なのである。