NTTドコモは
プロ人材に3000万円
特に専門性と経験値の高いプロフェッショナル人材に対しては、年収3000万円前後という待遇を用意している企業もある(下表参照)。こちらはそれぞれの会社の平均年収の4倍ほどにもなる破格の給料だ。
NTTドコモは今年から、「シニアプロフェッショナル制度」という新たな給与制度を導入した。これは2000万から最大で年収3000万円を超える可能性のある給与制度。対象となるのは、R&D(研究開発)人材及び、スマートライフ領域(通信インフラを活用してビッグデータを分析し、人々の暮らしを最適化するような事業)のスペシャリストだ。
R&D人材はAIスペシャリスト、ビッグデータアナリスト、スーパークリエータ。スマートライフ領域では、デジタルマーケター、UXデザイナー、ウェブ/アプリエンジニア、戦略的アライアンス人材が当てはまる。まさに今、世の中で最も不足している人材だ。
こうした専門性の高い人材を社内で育成するのには限界もある。そこで「社内で育成をしながら、社外からも積極的に採用していこうと、新たな制度を導入した」と同社の大浜房洋・人事制度担当部長は言う。
もちろんこの制度は、社外に対してだけでなく、社内の人材にも適用される。
「社内の優秀な社員が外部企業に抜かれる(転職されてしまう)可能性が出てきているので、そこを止めるためにもこの制度を社員に開放している」(大浜氏)。
現状ではまだ社外からの採用者はいないが、社内から、AIスペシャリスト、デジタルマーケター、戦略的アライアンス、金融決済の専門家合わせて5人がこの給与制度に移行している。そのうちの1人はパナソニックと14年に共同で設立した「みらい翻訳」という会社で新規事業に携わっているという。
新卒の年収が1000万円を超え、専門性の高いプロフェッショナル人材には3000万円の報酬を支払う。一昔前の日本企業では考えられなかったことだ。
就活でも専門性の高い学生に対してはかなり早い時期からIT企業や外資系コンサル企業などがアプローチしている。争奪戦は今後さらに激化しそうだ。