アカウンティングには、外部ステークホルダー向けの財務会計/税務会計と、内部向けの管理会計がある。財務会計の目的は財務に関して客観的で公正な情報を外部に開示することであり、税務会計の目的は法人税額を算出することだ。一方、管理会計は企業内部の経営管理手法として、経営者の意思決定や業績管理などに活用される。

財務会計

 財務会計は、株式会社における所有と経営の分離の理念に基づき、企業が会計原則に従った財務諸表によって、外部ステークホルダーに対して客観的かつ公正な企業の姿を開示することを目的としている。財務諸表は、損益計算書(P/L:Profit & Loss Statement)、貸借対照表(B/S:Balance Sheet)、キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)の3つを柱に構成されている。

 財務会計はさまざまな法律や規則(商法・証券取引法・税法など)によって厳格に規定されている。株式会社の所有者は株主であり、経営者は株主より経営を委任されて、企業活動に責任を負っている。したがって、株主は自分の所有物である会社の経営状況を把握する権利を持つ。また、株式会社の発達に伴って形成された証券市場を通じて、投資家(株主)は株式を売買し、株式会社は資金調達を行っている。そこで企業は証券市場という枠組みの中で、投資家が適切な投資判断を下せるようにしなくてはならない。そのため、企業は会計原則と証券市場のルールに則して情報開示を行い、会社の状況を的確に伝える義務を負っている。

 証券市場における情報開示の透明度は、一般に日本よりもアメリカのほうが高いと言われる。米国会計基準は日本の会計基準よりもさまざまな点で情報開示に対して高い厳格性を課しているからだ。しかし、企業活動のグローバル化ステークホルダーの多国籍化に伴い、日本企業にもより厳格でより透明度の高い会計基準による情報開示が求められるようになった。そうした動きを反映し、日本でも会計基準の見直しが行われている。その例として、連結を主、単体を従とした開示制度や、連結キャッシュフロー計算書の義務化、税効果会計退職給付会計などの導入が挙げられる。