ただ、SEJの親会社であるセブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下の総合スーパー、イトーヨーカ堂は2020年から、全国159店のうち16店で元日休業する。さらに同グループの食品スーパー・ヨークマートは、78店のうち、実に4割に当たる35店が元日休業する予定だ。社員の“働き方改革”のためだという。セブン&アイ・HD以外の小売りや外食企業でも近年、元日や深夜の店舗休業が相次いでいる。

 経済産業省が設置した有識者会議「新たなコンビニのあり方検討会」では、事務局からの報告書の骨子案が12月23日に示された。ここでは、営業時間だけでなく休業日についても「働き方改革の観点から、店舗の事情に応じて柔軟に認めることを検討すべき」との文言が入った。

 さらに複数の委員から、「より強い表現に改めるべきだ」とか「“喉元過ぎれば熱さを忘れる”にならないよう、改善の進捗を確認すべきだ」といった声が上がった。このため、最終的な報告書はより踏み込んだ内容になる可能性がある。

 SEJとは対称的に、業界2位のファミリーマートと3位のローソンは、元日の加盟店の働き方改革に着手している。

 ファミマは「店長ヘルプ制度」という既存の制度を活用。これは本部社員1人が午前9時から午後5時45分まで店舗に入り、その間オーナーが休むことができる制度だ。利用する加盟店は元日が109店で、12月31日から1月2日にかけて合計320店が活用する予定だという。

 ローソンでは全国の102店が元日休業する計画で、全て加盟店だ。10月の決算会見で希望する加盟店を募ると発表した竹増貞信社長は、「元日に休めることで、加盟店のオーナーや従業員にとっての働きがいにつながる」と話した。

 一方のSEJは、「当初は加盟店の参加も検討したが、元日休業によるさまざまな影響を考えた結果、直営店のみの実施になった」(セブン&アイ・HD広報センター)と説明。元日休業の実験に加盟店が参加できない理由について明確な答えは返ってこなかった。またSEJは実験の目的について、客の反応や物流面への影響を調べるとしているが、結果を公表するかどうかは未定だという。

 ファミマやローソンの関係者は、「加盟店の運営やオーナーの働き方は多様だ。社員が運営する直営店だけで実験をしても何の意味もない」と口をそろえる。SEJだけが時代の変化から取り残されていくのだろうか。