ESG投資はもともと「社会的責任投資」(Social Responsibility Investment)と呼んでいたものの焼き直しだが、SRIの時代から、ESG的な価値観を反映した投資の運用パフォーマンスが優れているというデータはなかなか出てこなかった。

 ESG投資の運用パフォーマンスが劣るのは不思議なことではない。例えば、投資可能な上場銘柄が10銘柄しかない世界を考えてみよう。そのうちの2銘柄がE、S、G、いずれかの観点で投資対象として不適格だと判断されたとしよう。

 不適格銘柄を除外した8銘柄でつくるESG投資ポートフォリオと、これを意識せずに10銘柄でつくるポートフォリオのどちらが優れているだろうか。

 結果として表れる運用成績は「運」の要素があるので何ともいえないのだが、少なくともポートフォリオを作成した時点で、ESG投資が劣ると考えられる要因が2つある。

 まず、除外された2銘柄のいずれか、または両方が、不人気等で株価が割安で期待リターンが大きな銘柄である可能性だ。その時点で運用者がどう判断するかの問題はあるが、投資対象銘柄を制約されるので、期待値ベースでESG投資はベストなものになり得ない公算が大きい。

 また、8銘柄と10銘柄で考えると分かりやすいが、投資できる銘柄数が多い方が広く分散投資できるので、リスクを低減させる余地が大きい。

 付け加えるなら、ESGをうたう投信はアクティブファンドであり、パッシブファンド(通常はインデックスファンド)よりも運用管理費用が高いので、手数料面でも不利になる。