なお、これまでのところ、近年不祥事が報じられた企業の多くが、社外取締役を置き、場合によっては委員会設置会社であるなど、表面的な企業統治では優等生だった。社外取締役が企業の業績を改善させるといった有力なエビデンスはない。しかし、企業が株主に対してどのような行動を取るのかは、今後、株式のパフォーマンスに影響する可能性が大きいので、表面的な体裁を見るのではなく、企業統治全体を評価することが投資にあっては重要だろう。

 また、近年、年金基金のような投資家も保有する株式の議決権行使に責任を持つべきだとする論調が広がりを見せている。公的年金のような政府機関が民間企業の経営に関与していいのかについては議論の余地があるが、投資一般の観点からすると、保有している銘柄の経営にプラスの影響を与えるような議決権行使を行うことについては一定の合理性がある。この際に、あくまでも企業の経営に影響する諸要素の一つとして、E、S、G、それぞれに目配りすることは当然だろう。

 端的に言って、機関投資家は、運用に真面目に取り組むことが大事なのであって、「ESG」が特別に大切なのではない。

個人投資家はESG投資を
敬遠するほうが無難

 個人投資家はESG投資をどう扱ったらいいのか。

 どうしても好きなら、ESG投資を標榜する投信などに投資してもいいが、その場合、運用リターンの点で追加的なコストを支払っている公算が大きい点について自覚的であるべきだろう。