建替え前の宮益坂ビルディング
建て替え前の宮益坂ビルディング Photo by Yugo Oki

「築64年で建て替え」といわれれば、それなりの築年数であるため納得できないこともないが、建築の専門家たちが言う「マンションは約100年の耐用年数がある」という観点から考えると、建て替えるには少し早すぎるように思える。

 なぜ建て替えが必要となったのか。

 第一は、建て替えの検討を進める時点で外壁の剥落などが始まっていて、建物が危険な状況になりつつあったことである。

 このマンションは、「宮益坂」という極めて人通りの多い道路に面しており、建物の4階部分まで(店舗と事務所部分)は道路ぎりぎりに建っていたので、剥落した外壁により通行人に被害を及ぼさないようにネットが張られている状況であった。

 第二は、建物の耐震性能である。現実には、建て替えなどの検討を始めていた時点では建物の設計図を逸失していたため耐震診断は行われていないが、少なくとも現在の水準よりも2世代前の耐震基準のときに建築確認を取得していた建物であり、東日本大震災の際には建物の各所にひび割れが生じていたことも確認されている。

 第三の理由は、給排水などのインフラが限界となっていたことである。

立地の良さがあだとなり
老朽化が加速

 そもそも、宮益坂ビルディングは、なぜ築後60年前後で建て替えを検討せざるをえないような状態になってしまったのか。