この「危険察知能力」は、ビジネスの世界でも役に立ちます。とくに生き残りをかけた戦いが始まる際には、むしろ「強いこと」よりも、繊細で「弱いこと」のほうが生存確率を高めることがあります。そして、これは組織戦略でも同じです。
みなさんのまわりを見回してもらえればわかると思いますが、組織に関するセンスが優れている人、チームビルディングがうまい人、勘所がいい人というのは、実は「危険察知能力」がきわめて高いのです。
彼らはウサギと同様に、職場の空気の変化や、人間の感情変化を素早く察知できます。先手先手で施策を打ち、致命的なダメージを回避することができるのです。
そして、ビジネスでもスポーツでも賭けごとでも、人生が長く続けば続くほど、「勝ち続けること」よりも、「致命的に負けないこと」のほうが重要になっていく。その意味で「危険察知能力」というのは超重要な力なのです。
ただ、「危険察知能力」というのは、個人個人だと天性の才能や生まれ育った環境によるところがやや大きく、再現性は高くありません。
では、これを組織の力に落とし込むには、どうすればいいのでしょうか?
実はそのヒントが、オープネスにあります。詳しくは『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』で述べていますが、オープネスは「組織のカナリア」としての役割を果たすからです。言い換えれば、オープネスが低下した組織は、いずれ業績が悪化するのです。