新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で、武漢市を含む中国湖北省は世界の他の地域と切り離され、封鎖状態にある。それによって世界の自動車産業が深刻な影響を受ける可能性が出ている。自動車各社は中国中部の同地域に大きな拠点を置いているからだ。感染拡大により中国での自動車生産の一部が中断され、大手メーカーは出張を制限し、従業員が自宅にとどまるよう求めている。少なくともドイツの自動車部品メーカー1社で28日、社員4人の感染が確認された。中国の自動車産業は30年前、ほぼゼロに近い状態から出発したが、2009年には米国を抜き、いまや世界最大の新車販売市場となっている。新型ウイルスの発生源とみられる湖北省の省都・武漢は、その間に自動車製造ハブとしての地位を築き、国有自動車メーカーの東風汽車が拠点を置くほか、ホンダ、仏PSAグループ、米ゼネラル・モーターズ(GM)などが多数の組立工場を持つ。