かつてエジプトの外交官タハシーン・バシル氏は、自分の国は例外として、他のアラブ諸国は「tribes with flags(旗を掲げた部族の集まり)」だとさげすんだ。バシル氏は2012年に死去したが、このフレーズは不和や対立の傷跡が生々しい中東地域に一段となじんでいる。今や宗派主義を批判する新たな叫びが、レバノンやイラク、それ以外の国々でも聞かれるようになった。このような事態になったのは、宗派主義に基づく古い秩序は、たとえ昔は通用したとしても、もはや期待に応えられないからだ。新世代のアラブ人は、指導者たちの宗教や一族の結びつき、部族的な政治を切り抜ける能力への関心を急速に失っている。盛り上がる抗議デモの中で彼らが求めているのは高度な国家統治能力だ。
【寄稿】アラブのデモ、「脱宗派主義」の動き
「アラブの春」は独裁者を倒すため、今度は「体制全体を変える」
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