曽山 僕だったら、まず自分の周りから情報をシェアすることを始めますね。
一番の目的は自分の業績を上げることなので、先輩達にそのためのノウハウや注力していること、仕事で大事にしていることを取材します。その内容を、こんな意見がありましたとチームでシェアして、他に聞きたいことがないかどうか確認して、情報を更新していく。まずは、現場から風穴を開けていって、その後で役員に取材してもいいですよね。
「風通しが良い会社」が向かない人はいるのか?
北野 そもそも、オープネスの高い組織が向く人もいれば、向かない人もいるような気もするんですが。たとえ職場の風通しが悪くても、ただ言われたことをやるだけのほうがいいという人も一定数存在しますよね。採用担当者として、そこを見極めるポイントはありますか?
曽山 すごく難しい質問ですね。サイバーエージェントで人事をやってきた僕の感覚では、「風通しがいい職場が苦手な人」はそれほどいないと思います。
大事なことは、自己開示したい度合いというのは、人によって違うということです。自己開示したくない人もいるかもしれませんけど、入った会社が風通しが良くて、言いたいことを言いやすい風土だったら、自分も意思表示してみようと、変わっていく可能性も高いと思うんですね。
サイバーエージェントの場合も、入社時点で「自分から手を挙げて新規事業をやりたい!」という人は、全体の2割くらいです。8割の人は、入社時点で明確になった野望を発言するわけではありません。
でもその2割の同期が意思表明して、僕らが抜擢して社長をやってもらうと、どんどん社長らしくなっていくんですよ。経営者ですから、お金の管理も人のマネジメントもしなければいけない。その成長する姿を見ると、他の同期も「自分にもできるかも?」「やってみようかな」と思いはじめて、30歳くらいで手を挙げる人がどんどん出てくるんです。ですから、最初から「自己開示したい人/したくない人(風通しが良い職場が好きな人/嫌いな人)」で分けるのは難しいと思うんですね。この会社の風土はいいなと思えば、人は変わりますから。