職場で上司や同僚の“独り言”が気になることはないだろうか。独り言の原因は、発している人の自覚の有無によって異なるという。だが、無意識に発している場合、なんらかの病気の可能性も考えられる。東京都日野市にある心療内科、朝がおクリニック院長の工藤嘉久医師に、独り言を言う人の心理や要因、対処法を聞いた。(清談社 ますだポム子)
意識的に発している独り言は
スルーをしても問題なし
「あれ?」「おかしいなぁ」「なんだこれ?」…。職場でブツブツと“独り言”をつぶやく人は少なくない。なかには、誰かの独り言を耳にする度に律義に返事をしてしまい、業務の手が止まってしまうという人もいるだろう。
「意識的に発している独り言は、たとえば、雑談のきっかけとして誰かの注意を引きたい、自分自身の思考の整理・確認などのために言語化したい、という理由から出てきています。こうした独り言は、スルーしても大丈夫ですよ」(工藤氏、以下同)
前者は「あわよくば誰かと話したい」という心理なので、仕事の手を止めてまで付き合う必要はない。発言者自身も、大した意味はなくつぶやいている場合がほとんどだという。コミュニケーション上の“クセ”のようなものだ。
後者も、特定の誰かに向けている言葉ではないので、放置してOK。本人の性格上、声に出すことで安心するというだけだ。ただし、どちらの場合も、あまりに頻度が多い、ボリュームが大きいなどで気になる場合は、直接本人に伝えるか、言いづらい場合には上司から注意してもらうようお願いすると良いだろう。
「自覚のある独り言の中で対応すべきものは、SOSとしての独り言です。これは新入社員や中途採用の人など、最近職場にやってきてなじめていない人などに多く見られます。また、気を使いがちの人にも多いですね」
質問があるとき、職場になじめていない人は誰に聞いていいかが分からない。やたらと気を使いがちな人は「自分が話しかけることで相手の時間を奪ってしまうのでは…」と不安になってしまうのだという。そうした心理から、独り言をつぶやいて注意を引き、“余裕があり、気付いてくれた人”に助けてもらおう、と考えるのだ。