これまでのエネルギー政策ではエネルギー需要が減ることが前提とされていなかった。しかし、人口減少が確実となり、家庭では電気機器の数や大きさなどの規模の拡大はピークとなり、LEDを始めとする省エネ機器が急速に普及し、エネルギー消費が半減するような新型ビルが竣工し、エネルギー管理のための制御機器が飛躍的に向上していることを考えれば、2030年のエネルギー需要の減少をより積極的に検討する選択肢もある。供給側の政策はそのための国民の姿勢を問うた上で検討されるべきだ。原子力発電のシェアを選択肢として掲げること自体が、従来型のサプライサイドの議論の枠組みなのである。

 増え続ける需要にいかに応えるかが重要だった時代には、サプライサイドの議論が効果的だった。しかし、これから日本のエネルギー需要は減るし、調達環境を考えれば減らすべきだ。そこで重要になるのは需要サイドの議論のアプローチである。

エネルギー・シビリアンコントロール
閉鎖性が再び息を吹き返さないために

 東京電力福島第一原子力発電所の事故原因については民間、国会、政府が調査委員会を設け、事故の原因に関する報告書を提示した。いずれの報告書にも共通しているのは原子力政策の閉鎖性に関する指摘だ。福島第一原子力発電の最大の問題は、原子力発電のような巨大なリスクを抱える設備に関わる政策が、何故安全第一、住民優先で運営されてこなかったのか、という点にある。

 原子力発電に関わる当事者はこうした指摘を否定するかもしれないが、何をもって安全とするかは、専門的な知見もさることながら、社会的なコンセンサスや政治判断なしに決めることはできない。原子力発電およびエネルギー政策についてはこうした視点が欠落していた。その結果、原子力発電の安全性は専門家や関係者などの内部の価値観で決められ、エネルギー政策の在り方では事業者と関係の意向が優先された。同様のことは、エネルギー基本計画全般についても言える。